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WEBマーケティングの始め方ガイド|手法7選(SEO・SNS他)と実践5ステップを解説

この記事では、WEBマーケティングの定義、現代ビジネスにおける重要性、SEOやSNS、Web広告といった具体的な手法、そして成功のためのステップやメリット・デメリットを分かりやすく解説します

1. WEBマーケティングとは?基本を徹底解説

WEBマーケティングの基本的な定義と、現代のビジネスにおける重要性を解説します。

1-1. WEBマーケティングの定義

WEBマーケティングとは、一言で言えば「インターネット(Web)を活用して行われるマーケティング活動の総称」です。

具体的には、企業のWebサイトやブログ、SNS(Twitter、Instagramなど)、Web広告、メールマガジンといったオンライン上の様々な媒体を通じて、自社の商品やサービスの認知度を高め、見込み客を獲得し、最終的な購買につなげ、さらには顧客との良好な関係を築くための一連の活動を指します。

テレビCMや新聞広告といった従来のマーケティング手法との大きな違いは、全ての活動がデータとして計測可能である点です。「どの広告から何人の人がサイトに訪れたか」「どのページがよく読まれているか」といったユーザーの行動を詳細に分析できるため、施策の効果を正確に測定し、スピーディーに改善を繰り返すことができます。

このように、データに基づいた戦略的なアプローチで顧客に働きかけることができるWEBマーケティングは、現代のビジネスにおいて不可欠な要素となっています。

うみこ
うみこ
WebサイトよりもSNSの方が集客できるということがわかれば、SNSにより力を入れたり、Webサイトを改善する必要があるということがわかります。

1-2. なぜ今、WEBマーケティングが重要なのか?

では、なぜ現代のビジネスにおいて、これほどまでにWEBマーケティングが重要視されるのでしょうか。その理由は、私たちの生活や消費行動の大きな変化にあります。主な理由として、以下の3点が挙げられます。

1. ユーザーの購買行動の変化

スマートフォンの普及により、人々はいつでもどこでもインターネットにアクセスできるようになりました。何か商品やサービスを購入しようと考えたとき、多くの人がまず行うのは、スマートフォンやPCでの「検索」です。

  • 「この商品は自分に合っているだろうか?」とレビューサイトで口コミを調べる
  • 「もっと安いお店はないか?」とECサイトで価格を比較する
  • 「どんな使い方ができるだろう?」とSNSで実際の使用例を探す

このように、消費者は購入を決定する前に、オンラインで能動的に情報を収集し、比較検討することが当たり前になりました。企業にとって、この「情報収集の段階」で自社の商品やサービスを見つけてもらい魅力を伝えることが、ビジネスの成否を分ける極めて重要なポイントになっているのです。

2. 少額から始められ、費用対効果を測定しやすい

テレビCMや新聞広告といった従来のマスマーケティングは、莫大なコストがかかる上に、「広告を見た人のうち、何人が実際に商品を購入したか」を正確に測ることが困難でした。

一方、WEBマーケティングは、SNS運用やSEO対策のように無料で始められる施策も多くあります。Web広告も、ターゲット(年齢、性別、地域、興味関心など)を細かく絞り込み、1日数千円といった少額の予算から出稿することが可能です。これにより、大企業だけでなく、中小企業や個人事業主でも、自社の規模に合わせてマーケティング活動を展開することができます。

3. データに基づいた精度の高いアプローチが可能

前項でも触れましたが、WEBマーケティングの最大の強みは、あらゆる活動をデータで可視化できる点です。「誰が、どの広告からサイトを訪れ、どのページを何分見て、購入に至ったか(あるいは、どのページで離脱したか)」といったユーザーの行動履歴を詳細に分析できます。

このデータに基づけば、「なんとなく」の勘に頼るのではなく、具体的な根拠を持って施策の効果を検証し、スピーディーに改善を繰り返す(PDCAサイクルを回す)ことができます。顧客のニーズをより深く理解し、一人ひとりに合わせた最適なアプローチを行うことで、マーケティングの精度を飛躍的に高めることが可能です。

これらの理由から、WEBマーケティングは単なる数ある選択肢の一つではなく、現代の顧客と繋がり、ビジネスを成長させるために不可欠な戦略となっているのです。

PDCAとは

「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」の4つのステップを繰り返すことで、業務の改善や効率化を図ることを言います。

1-3. 従来型マーケティングとの違い

WEBマーケティングの特徴をより深く理解するために、テレビCMや新聞広告に代表される「従来型マーケティング(マスマーケティング)」との違いを、いくつかの観点から比較してみましょう。

主な違いは以下の通りです。

比較項目 WEBマーケティング 従来型マーケティング
アプローチ対象 絞り込まれた個人・ターゲット 不特定多数(マス)
コミュニケーション 双方向(コメント、シェアなど) 一方向(企業 → 消費者)
効果測定 詳細なデータをリアルタイムで計測可能 概算・間接的で、正確な測定は困難
コスト 少額から可能 高額になりやすい
柔軟性・スピード リアルタイムでの修正・改善が可能 一度出稿すると修正が困難

1. アプローチ対象とコミュニケーションの違い

従来型のテレビCMや新聞広告は、性別や年齢を問わず、不特定多数の幅広い層に情報を届けることを得意としています。しかし、その情報が「誰に」「どのように」届いたのかを把握することは困難で、企業から消費者への一方的な情報発信になりがちです。

一方、WEBマーケティングでは、ユーザーの年齢、性別、地域、興味関心、過去の検索履歴といったデータに基づき、「この商品に関心を持ちそうな人」に絞って広告を配信したり、情報を提供したりすることができます。
さらに、SNSのコメントや「いいね!」、レビューなどを通じて、企業とユーザー、あるいはユーザー同士での双方向のコミュニケーションが生まれる点も大きな特徴です。

2. 効果測定と改善スピードの違い

従来型マーケティングでは、広告の効果は「視聴率」や「発行部数」といった間接的な指標でしか測ることができず、「その広告がきっかけで何人が購入したか」を正確に知ることはできませんでした。

対してWEBマーケティングは、「広告が何回表示され、何回クリックされたか」「サイトに訪れた人がどのページを閲覧し、購入に至ったか」といった詳細なデータをほぼリアルタイムで計測できます。データに基づいて「どの施策に効果があったのか」を明確に判断できるため、広告の文言を少し変えたり、ターゲット設定を見直したりといった改善をスピーディーに行うことが可能です。

このように、従来型マーケティングが「広く浅く」情報を届けるのに適しているのに対し、WEBマーケティングは「狭く深く」ターゲットにアプローチし、関係性を築いていくことに強みがあると言えます。どちらか一方が優れているというわけではなく、それぞれの特性を理解し、自社の目的やターゲットに合わせて使い分ける、あるいは組み合わせて活用していくことが重要です。

2. 【種類別】WEBマーケティングの代表的な手法

多岐にわたるWEBマーケティングの手法を、それぞれの特徴や目的とともに紹介します。

2-1. SEO(検索エンジン最適化)

SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、日本語では「検索エンジン最適化」と訳されます。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、ユーザーが特定のキーワードで検索した際に、自社のウェブサイトを検索結果の上位に表示させるための一連の施策を指します。

ウェブサイトへのアクセスの多くは検索エンジンを経由します。そのため、検索結果の上位に表示されることは、広告費をかけずに自社の製品やサービスに関心を持つ可能性の高いユーザーをウェブサイトへ集める(自然検索流入を増やす)上で非常に重要です。

SEOの施策は、主に以下の3つに大別されます。

  • 内部対策: ウェブサイトの構造やコンテンツそのものを、検索エンジンが理解しやすく、かつユーザーにとって価値のあるものに最適化する施策です。具体的には、適切なキーワードの選定、タイトルや見出しの最適化、サイトの表示速度の改善、スマートフォン表示への対応(モバイルフレンドリー)などが挙げられます。
  • 外部対策: 他のウェブサイトからのリンク(被リンク)を獲得するなど、外部からの評価を高める施策です。質の高いサイトからリンクされることで、検索エンジンはそのサイトを「信頼性が高く、有益なサイト」と判断し、評価を高める傾向があります。
  • コンテンツSEO: ユーザーの検索意図(知りたいこと、解決したい悩み)に応える、高品質で専門性の高いコンテンツ(記事など)を作成・発信し続けることで、検索エンジンからの評価を高め、上位表示を目指す手法です。現在のSEOにおいて最も重要視されています。

SEOは効果が出るまでに時間がかかる中長期的な施策ですが、一度上位表示を達成できれば、安定した集客が見込めるため、WEBマーケティングの基盤となる重要な手法です。

2-2. SEM(検索エンジンマーケティング)/ リスティング広告

SEMとは「Search Engine Marketing」の略称で、日本語では「検索エンジンマーケティング」と訳されます。これは、検索エンジンを活用したマーケティング活動の総称です。具体的には、前述の「SEO」と、ここで解説する「リスティング広告(検索連動型広告)」の2つを主な手法とします。

ここでは、SEMのもう一つの柱であるリスティング広告について詳しく見ていきましょう。

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索結果ページの上部や下部に「広告」や「スポンサー」といったラベル付きで表示されるテキスト広告のことです。ユーザーが検索したキーワードに連動して広告が表示されるため、「検索連動型広告」とも呼ばれます。

SEOが中長期的な施策であるのに対し、リスティング広告は広告費を支払うことで、短期間で検索結果にウェブサイトを表示させることが可能です。その商品やサービスに対する関心や購買意欲が非常に高い、いわゆる「今すぐ客」に直接アプローチできるのが大きな特徴です。

リスティング広告の主なメリットは以下の通りです。

  • 即効性が高い: 広告を出稿すれば、審査完了後すぐに検索結果に表示でき、スピーディーな集客が可能です。
  • 精度の高いターゲティング: 検索キーワードはもちろん、地域、年齢、時間帯などを指定して、広告を届けたいユーザー層に的を絞って配信できます。
  • 少額から始められる: 予算を自由に設定でき、クリックされた分だけ費用が発生する「クリック課金制(CPC/Cost Per Click)」が主流のため、低予算からでも始められます。
  • 効果測定と改善が容易: 表示回数、クリック率、コンバージョン(成果)数などのデータを詳細に分析し、広告文やキーワードを改善していくことで、費用対効果を高めることができます。

一方で、広告を掲載し続ける限り費用が発生し続けるという側面もあります。また、効果を最大化するためには、キーワード選定、入札価格の調整、魅力的な広告文の作成といった専門的な運用ノウハウが求められます。

このように、SEMにおいては、時間のかかるSEOで中長期的な資産を築きつつ、リスティング広告で短期的な成果を狙うなど、両方の施策を目的や状況に応じて組み合わせることが、検索エンジンからの集客を最大化する鍵となります。

2-3. SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、LINE、TikTokといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用して、製品やサービスの認知拡大、ブランディング、顧客との関係構築、そして最終的な購買促進などに繋げるマーケティング活動の総称です。

これまでに解説したSEOやリスティング広告が、ユーザーの「検索」という能動的な行動を起点とするのに対し、SNSマーケティングは、ユーザーの日常的な情報収集やコミュニケーションの場に企業側からアプローチできる点が大きな特徴です。これにより、まだ自社の製品やサービスを知らない「潜在顧客」へのリーチや、顧客のファン化を促進することが可能になります。

SNSマーケティングの主な特徴とメリットは以下の通りです。

  • 拡散力の高さ: ユーザーによる「いいね」「シェア」「リポスト」といったアクションを通じて、情報が爆発的に拡散(バイラル)される可能性があります。これにより、広告費をかけずに多くの人へ情報を届けることが期待できます。
  • 双方向のコミュニケーション: 企業からの一方的な情報発信だけでなく、ユーザーからのコメントやメッセージに対して返信することで、直接的な対話が可能です。顧客との距離を縮め、親近感や信頼感(顧客ロイヤルティ)を高める効果があります。
  • 精度の高いターゲティング広告: 各SNSプラットフォームが保有するユーザーの年齢、性別、地域、趣味・関心といった詳細な登録データを活用し、自社のターゲット層に的を絞った広告を配信することができます。
  • ファン・コミュニティの形成: 企業やブランドの世界観を伝え、ユーザーと継続的にコミュニケーションを取ることで、熱量の高いファンを育成し、コミュニティを形成することができます。ファンは優良顧客になるだけでなく、自発的な情報発信者(アンバサダー)となってくれることもあります。

一方で、SNSマーケティングには注意点も存在します。不適切な投稿やユーザー対応が、瞬く間に拡散されて批判を浴びる「炎上」のリスクが常に伴います。また、ユーザーとの良好な関係を築くためには、継続的なコンテンツ投稿やコメントへの対応といった地道な運用努力が不可欠です。

SNSマーケティングは、短期的な成果を狙うだけでなく、中長期的な視点で顧客との関係を育むための重要な手法として、現代のWEBマーケティングにおいて欠かせない要素となっています。

2-4. コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、ブログ記事、動画、ホワイトペーパー、導入事例など、ユーザーにとって価値のある有益なコンテンツを継続的に作成・提供することを通じて、潜在的な顧客を見込み客へ、そして最終的には優良顧客(ファン)へと育成していくマーケティング手法です。

リスティング広告やSNS広告のような、企業側から積極的にアプローチする「プッシュ型」の施策とは対照的に、ユーザー自らが情報を探し、コンテンツを見つけてもらう「プル型」のアプローチであることが最大の特徴です。売り込み感を抑え、ユーザーとの信頼関係を自然に築くことを目的とします。

特に、「2-1. SEO」で触れた「コンテンツSEO」は、このコンテンツマーケティングの考え方を検索エンジン対策に応用したものです。ユーザーの悩みや疑問に答える質の高いコンテンツは、検索エンジンからの評価を高め、広告費をかけずに継続的な集客をもたらす重要な基盤となります。

コンテンツマーケティングの主なメリットは以下の通りです。

  • 資産性の高さ: 一度作成したコンテンツはウェブサイトに蓄積され、時間が経っても集客やブランディングに貢献し続けるデジタル資産となります。
  • ブランディング効果: 専門性の高い情報発信を続けることで、その分野における第一人者としての信頼性や権威性を確立し、ブランドイメージを向上させることができます。
  • 潜在顧客との関係構築: まだ購入を具体的に考えていない潜在層に対しても、役立つ情報を提供することで早期から接点を持ち、将来の顧客へと育成(リードナーチャリング)することが可能です。
  • 顧客ロイヤルティの向上: 購入後も製品の活用方法など有益な情報を提供し続けることで、顧客との長期的な関係を築き、ファン化を促します。

コンテンツには、ブログ記事のほかにも、導入事例、お客様の声、調査レポート、ダウンロード資料(ホワイトペーパー)、動画、ウェビナー、メールマガジンなど、様々な形式があります。

一方で、コンテンツマーケティングは効果を実感できるまでに時間がかかる中長期的な施策であり、質の高いコンテンツを継続的に制作するための体制やリソースが必要となります。SEOやSNSマーケティングといった他の施策と連携させ、作成したコンテンツを効果的に届ける戦略を立てることが成功の鍵となります。

2-5. Web広告(ディスプレイ広告・動画広告など)

Web広告とは、インターネット上のウェブサイトやアプリなどのメディアに掲載される広告の総称です。これまで解説してきた「リスティング広告」や、SNSプラットフォーム上で配信される「SNS広告」もWeb広告の代表的な手法ですが、その種類は多岐にわたります。

ここでは、それ以外の主要なWeb広告として「ディスプレイ広告」と「動画広告」を中心に解説します。これらの広告は、特に潜在顧客へのアプローチやブランディングにおいて重要な役割を果たします。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とは、ウェブサイトやスマートフォンのアプリ内に設けられた広告枠に表示される、画像バナーやテキスト、動画形式の広告のことです。

検索キーワードという明確なニーズを起点とするリスティング広告とは異なり、ディスプレイ広告はニュースサイトやブログなど、様々なメディアを閲覧しているユーザーに対して表示されます。これにより、まだ自社の製品やサービスを知らない、あるいは具体的なニーズを自覚していない「潜在層」へ幅広くアプローチできるのが最大の特徴です。

また、ディスプレイ広告の特筆すべき手法に「リターゲティング(またはリマーケティング)」があります。これは、一度自社のウェブサイトを訪れたものの購入や問い合わせには至らなかったユーザーを追跡し、別のサイトを閲覧している際に自社の広告を再度表示する仕組みです。関心度の高いユーザーに再アプローチすることで、コンバージョン(成果)に繋げる効果が期待できます。

視覚的な訴求力が高く、認知拡大に適していますが、一方で、顕在層を狙うリスティング広告に比べてコンバージョン率は低くなる傾向があります。

動画広告

動画広告は、YouTubeをはじめとする動画共有プラットフォームや、SNS、Webサイト上で配信される動画形式の広告です。スマートフォンの普及と高速通信環境の整備により、その市場は急速に拡大しています。

動画広告の最大の強みは、テキストや静止画に比べて圧倒的に多くの情報を短時間で伝えられる点にあります。映像、音声、テロップを組み合わせることで、製品の魅力やブランドの世界観を感情に訴えかけながら直感的に伝えることができます。

ユーザーの記憶に残りやすく、高いブランディング効果や認知度向上が期待できる一方で、質の高い動画を制作するにはコストや時間がかかるという側面もあります。また、広告はスキップされることも多いため、冒頭の数秒でユーザーの心を掴むクリエイティブが成功の鍵となります。

その他のWeb広告

上記以外にも、以下のような広告手法があります。

  • アフィリエイト広告: ブロガーやインフルエンサーなどのメディア運営者に自社の製品やサービスを紹介してもらい、その成果(購入、会員登録など)に応じて報酬を支払う「成果報酬型」の広告です。
  • ネイティブ広告(記事広告): ニュースサイトの記事やSNSの投稿など、メディアのコンテンツとデザインを合わせ、自然に溶け込むように表示される広告です。「広告っぽさ」が少ないため、ユーザーにストレスを与えにくく、コンテンツの一部として読んでもらいやすいというメリットがあります。

このように、Web広告には様々な種類があり、それぞれに得意なアプローチや役割があります。「認知度を高めたい」「今すぐ購入してほしい」「ブランドイメージを伝えたい」といったマーケティングの目的やターゲットに合わせて、これらの広告手法を戦略的に活用していくことが、WEBマーケティング成功の重要な要素となります。

2-6. メールマーケティング

メールマーケティングとは、電子メールを活用して顧客や見込み客と直接コミュニケーションを取り、関係構築や販売促進に繋げるマーケティング手法です。「メールマガジン(メルマガ)」がその代表的な例として知られています。

SEOやWeb広告などが新規顧客の獲得を主な目的とすることが多いのに対し、メールマーケティングは、一度接点を持った顧客リスト(メールアドレス)に対して、企業側から能動的にアプローチできる「プッシュ型」の施策です。顧客との継続的な関係を維持・深化させ、リピート購入やファン化を促す上で非常に強力な手段となります。

メールマーケティングの主なメリットは以下の通りです。

  • 低コストでの運用: 他のWeb広告手法と比較して、配信にかかるコストが安価であるため、費用対効果(ROI)が高い傾向にあります。
  • 1to1のダイレクトなアプローチ: 顧客一人ひとりのメールボックスに直接情報を届けることができるため、パーソナルなコミュニケーションを実現しやすいのが特徴です。
  • 柔軟なセグメント配信: 顧客の年齢、性別、居住地、購入履歴、サイト内での行動履歴などに基づいてリストを分類(セグメント化)し、それぞれの顧客層に最適化された情報を配信することで、開封率やクリック率を高めることができます。
  • 顧客育成(リードナーチャリング): すぐには購入に至らない見込み客に対しても、ステップメール(※)などを活用して段階的に有益な情報を提供し続けることで、信頼関係を築き、購買意欲を徐々に高めていくことが可能です。

※ステップメール:会員登録や資料請求といった特定のアクションを起点に、あらかじめ用意した複数のメールをスケジュールに沿って自動配信する仕組み。

一方で、メールマーケティングを成功させるには、まず配信先となるメールアドレスを収集する仕組み(会員登録フォームの設置など)が不可欠です。また、配信するコンテンツが魅力的でなければ、開封すらされずに購読解除されてしまうリスクもあります。ユーザーにとって価値のある情報を、適切なタイミングと頻度で届けるための戦略的な運用が求められます。

古くからある手法ですが、パーソナライズの技術進化もあり、顧客との長期的な関係を築く上で、今なおWEBマーケティングにおいて欠かせない重要な役割を担っています。

3. WEBマーケティングのメリットとデメリット

WEBマーケティングを導入する上で知っておくべき、利点と注意点を整理して解説します。

3-1. 3つの大きなメリット

WEBマーケティングは、従来のマスマーケティング(テレビCMや新聞広告など)と比較して、ビジネスの規模に関わらず多くの企業が導入しやすい、優れたメリットを数多く持っています。ここでは、特に代表的な3つのメリットを解説します。

1. 少ない予算から始められ、費用対効果が高い

最大のメリットは、低コストで始められる点です。テレビCMや雑誌広告は何百万円、何千万円という多額の費用がかかりますが、WEBマーケティングは数万円といった少額の予算からでもスタートできます。

  • 少額からの出稿: リスティング広告やSNS広告は、1日の予算を数千円単位で設定し、効果を見ながら柔軟に調整できます。
  • 無料の施策: SEO(検索エンジン最適化)やSNSアカウントの運用は、基本的に無料で始められる施策です。
  • 高い費用対効果(ROI): データを基に効果の高い施策に予算を集中させることで、無駄なコストを削減し、高い費用対効果を目指すことが可能です。

このように、限られた予算の中でも最大限の効果を引き出せる可能性を秘めているのが、WEBマーケティングの大きな魅力です。

2. 効果測定が容易で、スピーディーに改善できる

WEBマーケティングでは、実施した施策の効果を具体的な数値データとして詳細に分析できます。

例えば、Webサイトにアクセス解析ツール(Google Analyticsなど)を導入すれば、

  • 広告を何人がクリックしたか (クリック数)
  • Webサイトに何人が訪れたか (アクセス数)
  • どのページがよく見られているか (ページビュー数)
  • 商品購入や問い合わせに何人繋がったか (コンバージョン数)

といったデータをリアルタイムで把握できます。「チラシを1万枚配って、何となく来店者が増えた」というような曖昧な効果測定ではなく、「この広告からサイトに来た100人のうち3人が商品を購入した」というように、施策の成果が明確に可視化されるのです。

このデータに基づいて「広告の文章を変えてみよう」「Webサイトのデザインを修正しよう」といった改善策を立て、その結果をまた数値で検証する、というPDCAサイクルを高速で回せるため、施策の成功確率を継続的に高めていくことができます。

3. ターゲットを絞って的確にアプローチできる

不特定多数に情報を発信するマスマーケティングとは異なり、WEBマーケティングは「誰に情報を届けたいか」を細かく設定し、狙ったターゲットに的確にアプローチできます。

  • 属性ターゲティング: 年齢、性別、居住地、言語などで絞り込めます。
  • 興味関心ターゲティング: ユーザーの閲覧履歴や検索行動から、特定の分野(例:料理、旅行、スポーツ)に興味がある層を狙えます。
  • 検索キーワードターゲティング: 「〇〇 始め方」「〇〇 おすすめ」のように、特定のキーワードで検索している、ニーズが明確なユーザーに直接広告を表示できます。

自社の商品やサービスを求めている可能性が高い「見込み顧客」に直接アプローチできるため、広告の無駄打ちが少なく、効率的なマーケティング活動が実現します。

3-2. 押さえておきたいデメリット

多くのメリットがある一方で、WEBマーケティングには注意すべきデメリットも存在します。事前にこれらを理解しておくことで、失敗のリスクを減らし、より効果的な戦略を立てることができます。

1. 専門知識が必要で、変化のスピードが速い

WEBマーケティングを成功させるには、幅広い専門知識が求められます。SEO、広告運用、SNSマーケティング、データ分析など、それぞれの分野で専門的なノウハウが必要です。

また、Web業界は技術やトレンドの変化が非常に速いのが特徴です。Googleの検索エンジンの評価基準(アルゴリズム)は頻繁にアップデートされますし、SNSの流行や仕様も次々と変わっていきます。そのため、一度知識を身につけて終わりではなく、常に最新情報を収集し、学び続ける姿勢が不可欠です。

2. 成果が出るまでに時間がかかる施策もある

WEBマーケティングの施策の中には、効果が表れるまでに中長期的な時間が必要なものがあります。

例えば、Web広告は比較的早く効果を実感しやすいですが、SEOや良質なコンテンツを蓄積していくコンテンツマーケティング、SNSアカウントのファンを増やしていく施策などは、成果が出るまでに数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。「すぐに売上を上げたい」という短期的な視点だけで取り組むと、効果が出る前に諦めてしまう可能性があります。

3. 競合が多く、競争が激化しやすい

「少ない予算から始められる」というメリットは、裏を返せば「参入障壁が低い」ということでもあります。そのため、多くの企業がWEBマーケティングに参入しており、競争が非常に激しくなっています。

特に人気のあるキーワードでは、広告の表示価格(広告単価)が高騰したり、SEOで検索結果の上位に表示させることが極めて困難になったりします。数多くの競合の中から自社を選んでもらうためには、常に他社との差別化を図り、独自の強みを打ち出していく戦略が求められます。

4. 初心者でも安心!WEBマーケティングの始め方5ステップ

これからWEBマーケティングを始める方向けに、具体的な手順をステップバイステップで解説します。

4-1. STEP1:目的・目標(KGI/KPI)を設定する

WEBマーケティングを始めるにあたり、最初に行うべき最も重要なステップが「目的・目標設定」です。闇雲に施策を始めても、どの方向に進むべきか、施策が成功したのか失敗したのかを判断できません。航海に出る前に目的地と航路を決めるように、まずはビジネスの最終的なゴールを明確にしましょう。

そのために設定するのがKGIKPIです。

KGI(Key Goal Indicator / 重要目標達成指標)とは

KGIとは、ビジネスにおける最終的な目標を定量的に示す指標のことです。具体的には「何を」「いつまでに」「どれくらい」達成するのかを定めます。

KGIの例

  • ECサイト:年間売上を1億円にする
  • BtoB企業:半年間で新規契約数を120件獲得する
  • 情報サイト:1年後の会員登録者数を10万人にする

KGIは、企業の成長に直結する、具体的で分かりやすい目標を設定することが重要です。

KPI(Key Performance Indicator / 重要業績評価指標)とは

KPIとは、KGIを達成するための中間目標となる指標です。最終ゴールであるKGIを達成するために、日々の活動が順調に進んでいるかを計測・評価するために設定します。

KGIを達成するためのプロセスを分解し、それぞれの段階で「何を」「どれくらい」クリアすれば良いのかを数値で設定します。

KPIの例(KGI:ECサイトの年間売上1億円の場合)
KGIである「売上」は、以下の要素に分解できます。
売上 = サイト訪問者数 × 購入率(CVR) × 平均顧客単価

この場合、KPIは以下のように設定できます。

  • 月間サイト訪問者数:20万人
  • 購入率(CVR):1%
  • 平均顧客単価:4,200円

このようにKPIを設定することで、「今月はサイト訪問者数が足りないから、SEOや広告を強化しよう」「購入率が低いから、商品ページの改善やカゴ落ち対策をしよう」といった具体的なアクションに繋げることができます。

まずは自社のビジネスにおける最終的なゴール(KGI)を定め、それを達成するためにはどのような要素(KPI)をクリアしていく必要があるのかを具体的に洗い出すことから始めましょう。この土台がしっかりしているほど、その後のマーケティング活動がブレなくなり、成功の確度が高まります。

4-2. STEP2:ターゲット(ペルソナ)を明確にする

目的と目標(KGI/KPI)という「どこを目指すか」が定まったら、次に決めるべきは「誰に届けるか」です。これがターゲット設定のステップです。どんなに素晴らしい商品やサービス、コンテンツを用意しても、それを必要としている人に届かなければ意味がありません。

WEBマーケティングでは、このターゲットをさらに具体的にした「ペルソナ」を設定することが成功の鍵を握ります。

ペルソナとは?

ペルソナとは、商品やサービスの典型的なユーザー像を、架空の人物として具体的に設定したものです。単なる「30代女性」といった抽象的なターゲット層ではなく、その人物の背景が目に浮かぶまで詳細に設定します。

ペルソナの設定項目例

  • 基本情報:氏名、年齢、性別、居住地、職業、年収、学歴
  • ライフスタイル:家族構成、趣味、休日の過ごし方、価値観
  • 情報収集:よく見るWEBサイトやSNS、好きな雑誌
  • 悩み・課題:仕事やプライベートで抱えている悩み、達成したい目標

なぜペルソナ設定が重要なのか?

ペルソナを設定することで、以下のようなメリットがあります。

  • 顧客視点が手に入る
    「田中さん(ペルソナ)はどんな情報なら喜ぶだろう?」「このデザインは田中さんの好みだろうか?」と、一人の具体的な人物を主語にして考えることで、ユーザーのニーズやインサイト(本音)を深く理解できます。
  • メッセージの精度が上がる
    不特定多数に向けたメッセージよりも、たった一人に宛てた手紙の方が心に響くように、ペルソナに語りかけることで、より具体的で刺さるコンテンツや広告クリエイティブを作成できます。
  • チーム内で共通認識が持てる
    デザイナー、ライター、マーケターなど、関わるメンバー全員が同じペルソナを共有することで、「私たちの顧客はこういう人だ」という認識が統一され、施策の方向性がブレにくくなります。

ペルソナ設定の例(オーガニックコスメECサイトの場合)

項目 設定内容
氏名 佐藤 友香(さとう ゆうか)
年齢 32歳・女性
職業 都内IT企業で働くWebデザイナー
年収 450万円
悩み 長時間のPC作業による肌の乾燥と、年齢による肌質の変化に悩んでいる。敏感肌のため、刺激の強い化粧品は避けたい。
価値観 価格が高くても、品質が良く、自分の肌に合うものを長く使いたい。環境問題にも関心がある。
情報収集 Instagramで好きなインフルエンサーの投稿をチェック。美容雑誌は「&ROSY」を愛読。

このようにペルソナを明確にすることで、「友香さんのような敏感肌でも安心して使える点を伝えよう」「Instagramで人気のインフルエンサーにレビューを依頼してみよう」といった、具体的で効果的な施策立案に繋がります。

KGI/KPIを達成するために、自分たちが本当に価値を届けたい顧客は誰なのか、解像度高く描き出すことが次のステップです。

4-3. STEP3:マーケティング手法を選定する

STEP1で「目的・目標(KGI/KPI)」を定め、STEP2で「誰に届けるか(ペルソナ)」を明確にしました。次はいよいよ、「どのようにしてターゲットにアプローチするか」を考えるステップ、つまり具体的なマーケティング手法の選定です。

WEBマーケティングには数多くの手法が存在し、それぞれに得意なことや特徴が異なります。自社の目的やターゲット、そして利用できるリソース(予算や人材)に合わせて、最適な手法を見極めることが成功の鍵となります。

WEBマーケティングの代表的な手法

ここでは、代表的なWEBマーケティングの手法をいくつかご紹介します。

1. SEO(検索エンジン最適化)
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、ユーザーが特定のキーワードで検索した際に、自社のサイトを上位に表示させるための施策です。

  • 特徴:一度上位表示されると継続的な集客が見込めるため、中長期的な資産になります。広告費はかかりませんが、質の高いコンテンツ作成やサイト改善に時間と労力が必要です。
  • 向いているケース:「〇〇 悩み」「〇〇 おすすめ」など、ニーズが明確なユーザーにアプローチしたい場合や、オウンドメディアでじっくりと集客の基盤を築きたい場合に有効です。

2. コンテンツマーケティング
ブログ記事や動画、ホワイトペーパーなど、ペルソナにとって価値のある有益なコンテンツを作成・発信することで、見込み客を引きつけ、最終的にファンになってもらうことを目指す手法です。

  • 特徴:上記SEOと非常に親和性が高く、専門性や信頼性を示すことでブランディングにも繋がります。すぐに売上に結びつくわけではなく、顧客との関係をじっくりと育てる中長期的な施策です。
  • 向いているケース:専門知識が必要なBtoB商材や、購入までの検討期間が長い高額商品などで効果を発揮します。

3. WEB広告
費用を支払い、WEBサイトや検索結果、SNSなどに広告を掲載する手法です。代表的なものに、検索結果に表示される「リスティング広告」や、SNSのタイムラインに表示される「SNS広告」などがあります。

  • 特徴:費用がかかる分、即効性が高く、短期間で多くのユーザーにアプローチできます。年齢や地域、興味関心などでターゲットを細かく絞り込めるため、効率的なアプローチが可能です。
  • 向いているケース:新商品やキャンペーンの告知、特定のターゲット層にすぐにリーチしたい場合などに最適です。

4. SNSマーケティング
X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、LINEなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用して、ユーザーとのコミュニケーションや情報発信を行う手法です。

  • 特徴:情報の拡散力が高く、「いいね」や「シェア」を通じてユーザー自身が情報を広めてくれる可能性があります。企業やブランドのファンを育成し、コミュニティを形成するのに長けています。
  • 向いているケース:ビジュアルで魅力を伝えやすい商品(コスメ、アパレル、食品など)や、若年層がターゲットの場合、顧客と密なコミュニケーションを取りたい場合に有効です。

5. メールマーケティング(メルマガ)
自社で獲得したメールアドレスリストに対して、メールマガジン(メルマガ)やステップメールなどを配信する手法です。

  • 特徴:すでに自社に興味を持っているユーザーに対して直接アプローチできるため、他の手法に比べてエンゲージメント(反応)が高くなりやすい傾向があります。顧客との関係を維持・深化させ、リピート購入を促すのに効果的です。
  • 向いているケース:ECサイトでの再購入促進や、BtoBでの見込み客育成(ナーチャリング)などに活用されます。

手法を選ぶ際のポイント

これらの多様な手法の中から、どれを選べば良いのでしょうか。判断の軸となるのは、これまでのステップで決めた「目的」と「ペルソナ」です。

  • ペルソナはどこにいるか?:設定したペルソナは、普段どのような媒体で情報を集めているでしょうか?(例:Instagramで情報収集するペルソナならSNS広告、仕事の課題解決のために検索するペルソナならSEOやリスティング広告)
  • 目的達成への最短ルートは?:KGI/KPIを達成するために、今すぐ必要なのは「認知拡大」なのか「見込み客獲得」なのか、それとも「販売促進」なのかを考え、それに合った手法を選びます。

また、多くの場合、一つの手法だけでなく、複数の手法を組み合わせる(マーケティングミックス)ことで、相乗効果が生まれます。「SEOとコンテンツマーケティングで集客し、獲得したリストにメールマーケティングでアプローチし、SNSでファンとの交流を深める」といったように、それぞれの施策が連動するように戦略を立てることが重要です。

次のステップでは、これらの手法を実行し、効果を測定・改善していくフェーズに入ります。

4-4. STEP4:施策を実行・運用する

STEP3までで、目的・ターゲットを定め、具体的なマーケティング手法を選定しました。これで航海の準備は万端です。いよいよ最後のステップ、計画に沿って施策を「実行」し、その効果を「運用」していくフェーズに入ります。

WEBマーケティングにおいて、このSTEP4は最も重要かつ、継続的な努力が求められる段階です。なぜなら、計画通りに施策を実行するだけでは不十分で、その結果を正しく評価し、改善を繰り返していくことが成功の絶対条件だからです。

この一連の流れは、PDCAサイクルというフレームワークで説明できます。

  • Plan(計画):STEP1〜3で立てた戦略や計画
  • Do(実行):計画に基づいて施策を実行する
  • Check(評価):実行した施策の結果をデータで測定・分析する
  • Action(改善):分析結果を元に、改善策を考え、次の計画に活かす

このサイクルを高速で回し続けることが、WEBマーケティングを成功に導くエンジンとなります。

Do:計画を実行に移す

まずは、STEP3で選定した手法を計画通りに実行します。

  • SEO/コンテンツマーケティング:記事の作成・公開、サイト内部の改修
  • WEB広告:広告クリエイティブの作成、広告配信の設定
  • SNSマーケティング:アカウントの開設、投稿コンテンツの作成・投稿
  • メールマーケティング:メルマガの作成、配信リストの準備

この段階では、計画したスケジュールや内容を着実に実行していくことが求められます。

Check:効果を測定・分析する

施策を「やりっぱなし」にしないために、必ず効果測定を行いましょう。WEBマーケティングの最大の強みは、実行した施策の成果を数値(データ)で正確に把握できる点にあります。

  • 何を測定するか?:STEP1で設定したKPIが、評価の軸となります。「サイトの訪問者数」「購入率(CVR)」「問い合わせ件数」などが目標値を達成できているかを確認します。
  • どうやって測定するか?:多くの無料・有料ツールが存在しますが、まずは以下のツールを押さえておくと良いでしょう。
    • Google Analytics(グーグル・アナリティクス):サイト訪問者数、滞在時間、どのページがよく見られているかなど、WEBサイトに関する詳細なデータを分析できます。
    • Google Search Console(グーグル・サーチコンソール):ユーザーがどのようなキーワードで検索してサイトにたどり着いたか、検索結果での表示回数やクリック率などを分析できます。SEOには必須のツールです。
    • 各広告媒体の管理画面:リスティング広告やSNS広告の表示回数、クリック数、コンバージョン数などを確認できます。

これらのツールを使い、勘や感覚ではなく、客観的なデータに基づいて施策の効果を評価します。

Action:分析結果から改善策を考える

データ分析から見えてきた課題を元に、「では、次は何をすべきか?」という改善策を考え、実行します。

改善のアクション例

  • 【課題】 サイト訪問者数は多いが、購入率が低い。
    • 【仮説】 商品ページの魅力が伝わっていないのかもしれない。購入ボタンが分かりにくいのかもしれない。
    • 【改善策】 商品説明文を見直す。購入ボタンの色やデザインを変更してみる(A/Bテスト)。
  • 【課題】 特定の記事からのアクセスが非常に少ない。
    • 【仮説】 狙ったキーワードで上位表示できていない。タイトルが魅力的でない。
    • 【改善策】 キーワードを見直し、記事の内容をより充実させる(リライト)。タイトルのクリック率を高めるために文言を修正する。

このように、「実行→測定→分析→改善」というサイクルを繰り返し回すことで、施策の精度は着実に向上し、KGI達成へと近づいていきます。

WEBマーケティングは一度で完璧な結果が出る魔法ではありません。地道なPDCAサイクルを通じて、自社と顧客にとっての「正解」を見つけ出していく継続的な活動なのです。

4-5. STEP5:効果測定と改善を繰り返す

STEP1からSTEP4までで、WEBマーケティングの計画立案から施策の実行まで、一連の流れが完了しました。しかし、施策を「やりっぱなし」にしていては、成果を最大化することはできません。本当の勝負はここから始まります。

WEBマーケティングの最大の強みであり、本質とも言えるのが、この「効果測定と改善」のフェーズです。実行した施策の結果をデータに基づいて客観的に評価し、改善を繰り返していくことで、施策の精度を継続的に高めていくことができます。この地道なサイクルこそが、ビジネスを成功に導く最も確実な道筋です。

PDCAサイクルを「回し続ける」

STEP4でも触れましたが、このフェーズの基本となる考え方がPDCAサイクルです。

  • Plan(計画):設定したKGI/KPIに基づき、施策を計画する
  • Do(実行):計画した施策を実行する
  • Check(評価):実行した施策の結果をデータで測定・分析する
  • Action(改善):分析結果を元に、改善策を考え、次の計画に活かす

重要なのは、このサイクルを一度だけでなく、継続的に、そして高速で回し続けることです。市場のトレンド、顧客のニーズ、競合の動向は常に変化しています。一度成功した方法が、明日も通用するとは限りません。常にデータと向き合い、仮説を立て、検証を繰り返すことで、変化に対応し、成果を出し続けることができるのです。

具体的な改善のアプローチ例

では、具体的にどのような改善を行っていくのでしょうか。ここでは代表的な2つのアプローチを紹介します。

1. A/Bテスト
A/Bテストとは、広告のキャッチコピー、WEBサイトのボタンの色、メールマガジンの件名など、一部だけが異なる2つのパターン(AパターンとBパターン)を用意し、どちらがより高い成果(クリック率やコンバージョン率など)を出すかを実際にユーザーに配信してテストする手法です。

  • :ECサイトの購入ボタン
    • Aパターン:「購入する」
    • Bパターン:「カートに入れる」

勘や経験に頼るのではなく、実際のデータに基づいて「どちらがより効果的か」を判断できるため、WEBマーケティングにおける意思決定の精度を飛躍的に高めることができます。

2. LPO(Landing Page Optimization / ランディングページ最適化)
LPOとは、広告や検索結果をクリックしたユーザーが最初に訪れるページ(ランディングページ)を改善し、コンバージョン率(CVR)を高めるための施策です。

せっかく広告費をかけてユーザーを集めても、ランディングページに魅力がなかったり、分かりにくかったりすると、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。

  • 改善点の例
    • キャッチコピーはターゲットに響くか?
    • 商品の魅力やメリットは分かりやすく伝わっているか?
    • 申し込みフォームは入力しやすいか?

ヒートマップツール(ユーザーがページのどこを熟読し、どこで離脱しているかを可視化するツール)などを活用して課題を発見し、改善を繰り返すことで、集客したユーザーを着実に成果へと繋げることができます。

WEBマーケティングは、一度で満点の結果が出る魔法ではありません。「実行→測定→分析→改善」という小さな成功と失敗のサイクルを地道に、そしてスピーディに回し続けることで、KGI達成という大きなゴールへと少しずつ近づいていく、継続的な活動なのです。

5. WEBマーケティングを成功させるための3つのポイント

成果を最大化するために、常に意識しておきたい重要な心構えやコツを紹介します。

5-1. 常に顧客視点を忘れない

数多くのWEBマーケティング施策が存在しますが、そのすべてに共通する最も重要な心構えが「常に顧客視点を忘れない」ことです。どれだけ高度なテクニックを駆使しても、届けたい相手である顧客の存在を無視しては、成果につながることはありません。

企業側は「この商品を売りたい」「このサービスを知ってほしい」という想いが先行しがちです。しかし、顧客が求めているのは、企業の一方的な宣伝文句ではなく、「自分の抱える悩みや課題を解決してくれる情報や手段」です。

例えば、以下のような問いを常に自問自答することが重要です。

  • ターゲットとなる顧客は、普段どんなことで悩んでいるのか?
  • どんなキーワードで情報を検索するだろうか?
  • この記事や広告は、顧客にとって本当に価値のある内容か?
  • このウェブサイトは、顧客が目的を達成しやすい作りになっているか?

この顧客視点を具体的な施策に落とし込むために、「ペルソナ設定」や「カスタマージャーニーマップ」の作成といったフレームワークが活用されます。

ペルソナ設定: サービスや商品の典型的なユーザー像を具体的に設定し、その人物が何を考え、どう行動するかを深く理解します。
カスタマージャーニーマップ: 顧客が商品を認知し、購入に至るまでの思考や感情、行動のプロセスを可視化し、各接点に最適なアプローチを考えます。

ツールによるデータ分析も、顧客視点を客観的に把握する上で欠かせません。しかし、そのデータの背景にある「なぜユーザーはこのような行動を取ったのか?」という顧客の心理を想像することが、本質的な改善につながります。

すべての施策の出発点であり、ゴールでもある「顧客」。この基本姿勢を忘れないことが、WEBマーケティングを成功させるための絶対条件と言えるでしょう。

5-2. データに基づいた分析と改善

前節で述べた「顧客視点」が、担当者の主観的な思い込みに陥らないために不可欠なのが、データに基づいた客観的な分析と改善です。テレビCMや雑誌広告といった従来のマーケティング手法と異なり、施策の成果を具体的な数値で詳細に可視化できる点は、WEBマーケティングの最大の強みと言えます。

ウェブサイトへのアクセス数、コンバージョン率(成約率)、広告のクリック率、SNSでの「いいね」の数など、あらゆるユーザーの行動がデータとして蓄積されます。これらのデータは、顧客の動きを映し出す鏡であり、「どの施策が効果的だったのか」「どこに改善すべき点があるのか」を客観的に示してくれます。

そして、WEBマーケティングの成功は、このデータ分析を「PDCAサイクル」に組み込み、継続的に回し続けることで実現します。

  • Plan(計画): 施策の具体的な目標(KPI)を設定する。
  • Do(実行): 計画に沿って施策を実行する。
  • Check(評価): Google Analyticsなどの分析ツールを使い、結果をデータで検証する。
  • Action(改善): データから判明した課題をもとに、改善策を考え次の計画に活かす。

例えば、「特定のページの離脱率が非常に高い」というデータ(Check)が見つかったとします。そこから「ユーザーが求めている情報と内容がずれているのではないか?」「次のアクションへの導線が分かりにくいのではないか?」といった仮説を立て、コンテンツを修正したり、ボタンのデザインを変更したりする(Action)といった具体的な改善につなげることができます。

勘や経験だけに頼るのではなく、データという客観的な事実をもとに仮説を立て、検証と改善を繰り返していく。この地道なプロセスこそが、顧客のニーズに的確に応え、WEBマーケティングの成果を最大化させるための鍵となります。

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