1. プロンプトとは?生成AIを動かす「魔法の呪文」
ChatGPTやMidjourney、Stable Diffusionといった「生成AI」が、私たちの仕事や創造活動に大きな変化をもたらしています。文章の作成、アイデア出し、画像の生成、さらにはプログラミングまで、これまで人間にしかできないと思われていたタスクを、AIが瞬時にこなしてしまう時代になりました。この革新的な技術を意のままに操るために、不可欠な要素が「プロンプト(Prompt)」です。
プロンプトとは、一言で言えば「生成AIに対する指示や命令文」のことです。私たちが普段使っている言葉で、AIに「何をしてほしいのか」「どのようなアウトプットが欲しいのか」を伝えるためのテキストを指します。しばしば「魔法の呪文」や「AIへの指示書」と例えられるように、このプロンプトの質が、生成AIから得られるアウトプットのクオリティを大きく左右します。
例えば、文章生成AIに「ビジネスメールを書いて」とだけお願いするのと、「【状況】取引先への新製品発売の案内。【宛先】株式会社〇〇の佐藤様。【目的】来週発売する新製品『AIアシスタントPro』の紹介と、デモンストレーションのアポイント打診。【トーン】丁寧かつ簡潔に。」と具体的にお願いするのとでは、出来上がるメールの完成度は全く異なります。前者のような曖昧な指示では、AIは何を書いていいか分からず、ありきたりで質の低い文章しか生成できません。一方で、後者のように具体的で明確なプロンプトを与えれば、AIはその意図を正確に汲み取り、私たちの期待を遥かに超える成果を出してくれるのです。
つまりプロンプトとは、生成AIという非常に優秀なアシスタントの能力を最大限に引き出すための「対話のスキル」そのものと言えるでしょう。本記事では、このプロンプトの基本から、より良い結果を生み出すためのテクニックまでを詳しく解説していきます。
1-1. プロンプトを構成する基本的な要素
優れたプロンプトは、単に長文であれば良いというわけではありません。むしろ、必要な情報を簡潔かつ的確に盛り込むことが重要です。望むアウトプットを得るためのプロンプトは、主に以下のような要素で構成されています。これらを意識的に組み合わせることで、AIとの対話の精度は飛躍的に向上します。
1. 指示(Instruction)
AIに実行してほしいタスクを明確に伝える、プロンプトの核となる部分です。「〜を要約してください」「〜について説明してください」「〜のアイデアを5つ挙げてください」といった、具体的な動詞で示すのが基本です。AIが最初に行動すべきことを明確に理解するために、この指示は不可欠です。
2. 文脈(Context)
指示の背景となる情報や前提条件を提供します。文脈を与えることで、AIはタスクの目的や状況をより深く理解し、より的確なアウトプットを生成することができます。例えば、「小学生向けの科学記事を書く」という文脈や、「社内向けのプレゼン資料を作成する」といった背景情報がこれにあたります。
3. 制約・条件(Constraint)
生成されるアウトプットの形式、スタイル、長さ、トーンなどを指定します。これにより、AIの回答を望ましい形に整えることができます。
- 形式: 「箇条書きで」「表形式で」「マークダウン形式で」
- 長さ: 「300字以内で」「3つのパラグラフで」
- トーン: 「です・ます調で」「友人への手紙のようにフレンドリーに」「専門的かつ客観的に」
といった具体的な条件を加えることで、アウトプットの利用価値は格段に高まります。
4. 役割(Role)
AIに特定の専門家やキャラクターの役割を与える手法です。「あなたはプロのマーケティングコンサルタントです」「あなたは経験豊富な編集者です」といったように役割を設定することで、AIはその立場になりきり、専門的な視点や特定のトーンに基づいた回答を生成しやすくなります。これにより、より深みと信頼性のあるアウトプットが期待できます。
これら「指示」「文脈」「制約・条件」「役割」の4つの要素は、単独で使うこともできますが、組み合わせることで相乗効果を発揮します。初めは難しく感じるかもしれませんが、まずはこれらの要素を意識してプロンプトを作成する練習をすることが、生成AIを使いこなすための第一歩となるでしょう。
1-2. プロンプトの役割:AIの羅針盤
生成AIとの対話において、プロンプトは単なる「質問」や「お願い」以上の、極めて重要な役割を担っています。それは、AIが進むべき方向を指し示す「羅針盤」に例えることができます。
もし羅針盤のない船が広大な海で目的地を見失ってしまうように、明確なプロンプトがなければAIは何を生成すれば良いのか分かりません。漠然とした、あるいは全く意図しない結果を出力してしまうでしょう。
プロンプトが果たす主な役割は、以下の3つに集約できます。
指示(Instruction):何をすべきかを伝える
「ブログ記事を書いて」「この文章を要約して」「Pythonのコードを生成して」といった、AIに実行してほしいタスクそのものを明確に伝えます。これが最も基本的な役割です。
文脈(Context):どのような状況・前提かを伝える
「あなたはプロのマーケターです」「小学生向けに説明してください」のように、AIに特定の役割や立場を与えたり、背景情報を提供したりします。これにより、出力のトーン&マナーや専門性のレベルを調整できます。
制約(Constraint):守ってほしいルールを伝える
「500字以内で」「箇条書きで」「表形式でまとめて」といった、出力の形式や文字数、含めてほしい要素などを指定します。これにより、望む形に限りなく近いアウトプットを得ることが可能になります。
このように、プロンプトはAIの思考と創造の出発点であり、最終的な出力の質を決定づける設計図です。的確なプロンプトを与えることで、私たちはAIの能力を最大限に引き出し、望むゴールへと導くことができるのです。
1-3. 良いプロンプト と 悪いプロンプト
プロンプトの役割を理解したところで、次はその「質」に目を向けてみましょう。同じAIを使っても、プロンプト一つで出てくる答えは天と地ほどの差があります。では、「良いプロンプト」と「悪いプロンプト」は、具体的に何が違うのでしょうか。
悪いプロンプトの特徴:曖昧で情報不足
悪いプロンプトは、一言で言えば「AIに丸投げ」している状態です。具体的でなく、必要な情報が欠けているため、AIは何をすべきか判断に迷ってしまいます。
悪いプロンプトの例:
- 「マーケティングについて教えて」
- 「面白い物語を書いて」
- 「このデータのまとめをお願い」
これらのプロンプトでは、AIは「誰に向けて?」「どのレベルの専門性で?」「どんな形式で?」といった重要な情報が不足しているため、ありきたりで、的を射ない回答しか生成できません。まるで、地図も目的地も告げずに「どこか良い場所に連れて行って」と言うようなものです。
良いプロンプトの特徴:具体的で明確
一方、良いプロンプトは、前述した「指示」「文脈」「制約」の要素が明確に含まれており、AIが迷うことなくタスクを実行できるように設計されています。
良いプロンプトの例(「マーケティングについて教えて」を改善):
あなたは、中小企業の経営者を対象とした経営コンサルタントです。【文脈】
これからSNSマーケティングを始めたいと考えている初心者向けに、そのメリットと具体的な始め方を解説するブログ記事の構成案を作成してください。【指示】
特に、InstagramとX(旧Twitter)の違いと、それぞれのプラットフォームで成功するためのポイントを必ず含めてください。箇条書きを使い、専門用語は避けて分かりやすく説明してください。【制約】
このように、役割(ペルソナ)を与え、ターゲットを明確にし、含めるべき要素や形式を指定することで、AIはあなたの意図を正確に汲み取り、質の高いアウトプットを生成することができます。
| 悪いプロンプト | 良いプロンプト | |
|---|---|---|
| 具体性 | 曖昧、抽象的 | 具体的、明確 |
| 情報量 | 不足している | 役割、背景、目的など十分な情報がある |
| 指示 | 大雑把な命令 | 実行すべきタスクが詳細 |
| 制約 | なし | 文字数、形式、含める要素などが指定されている |
| 結果 | 意図しない、または一般的な回答 | 期待に沿った、質の高い回答 |
結論として、良いプロンプトとはAIに対する「親切で丁寧な指示書」です。AIを優秀なアシスタントとして扱うには、私たち自身が優れたディレクターになる必要があります。プロンプトを少し工夫するだけで、生成AIはあなたの期待を遥かに超えるパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。
2. 【基本構成】良いプロンプトを作る5つの要素
効果的なプロンプトを作成するために押さえておきたい、基本的な5つの構成要素を分解して解説します。
2-1. 役割(Role):AIにペルソナを与える
プロンプトにおける「役割(Role)」とは、生成AIに特定の立場やキャラクター、専門家としてのペルソナ(人格)を与える指示のことです。単に質問を投げかけるだけでなく、AIに「誰として」答えてほしいのかを明確にすることで、出力される内容の視点、トーン、専門性をコントロールし、回答の質を飛躍的に高めることができます。
人間が誰かに質問する時、無意識に相手を選んでいます。例えば、法律のことは弁護士に、病気のことは医者に尋ねるでしょう。AIに役割を与えるのは、これと同じ考え方です。AIを特定の分野の専門家として指名することで、その分野に特化した、より精度の高い回答を引き出すことが可能になります。
役割(Role)を指定する具体例
例1:プロの編集者として
あなたはプロの編集者です。以下の文章を、より分かりやすく、説得力のある表現に修正してください。
この指示により、AIは誤字脱字のチェックだけでなく、文章構成や表現の改善といった、編集者ならではの視点で回答を生成します。
例2:経験豊富なマーケティングコンサルタントとして
あなたは経験豊富なマーケティングコンサルタントです。20代女性をターゲットにした新しい化粧品のプロモーション戦略を3つ提案してください。
AIはマーケティングの専門知識を基に、ターゲット層のインサイトを踏まえた具体的な戦略を立案してくれます。
例3:小学校の先生として
あなたは小学校の先生です。「光合成」の仕組みについて、小学3年生にも理解できるように、身近な例を使って説明してください。
専門用語を避け、子供たちの興味を引くような比喩や簡単な言葉遣いで説明を生成してくれます。
このように、プロンプトの冒頭で役割を定義することは、AIとの対話をより生産的にするための最初の、そして最も重要なステップの一つです。AIを単なる情報検索ツールではなく、あなたの目的に応じて姿を変える有能なアシスタントや専門家として活用するために、ぜひ役割設定を試してみてください。
2-2. 指示(Instruction):やってほしいことを明確に伝える
役割(Role)を設定してAIのペルソナを定義したら、次に行うべきは「何をしてほしいのか」を具体的に伝える「指示(Instruction)」です。これはプロンプトの核となる部分であり、生成されるアウトプットの質を直接左右する最も重要な要素と言えます。どんなに優秀な専門家(役割)をアサインしたとしても、依頼内容そのものが曖昧では期待通りの成果は得られません。
AIは人間のように文脈や行間を読んで、こちらの意図を完璧に推測することはできません。「いい感じに要約して」「面白いアイデアを出して」といった抽象的な命令では、AIは何を基準に考えれば良いか分からず、見当違いの回答を返してくる可能性が高くなります。
AIを高性能なアシスタントとして最大限に活用するためには、実行してほしいタスクを具体的かつ明確に定義することが不可欠です。
明確な指示を与える具体例
例1:情報の要約
曖昧な指示:
この記事を要約して。
明確な指示:
この記事の内容を、重要なポイントを3つに絞り、箇条書きで300字以内に要約してください。
→「3つのポイント」「箇条書き」「300字以内」という制約条件を加えることで、求めている形式で整理された要約を得ることができます。
例2:アイデア出し
曖昧な指示:
新しいサービスのアイデアを考えて。
明確な指示:
一人暮らしの高齢者の見守りを目的とした、新しいWebサービスのアイデアを3つ提案してください。それぞれのアイデアについて、サービス概要と想定されるマネタイズ方法を説明してください。
→「ターゲット」「目的」「個数」「含めるべき要素」を具体的に指定することで、実用的なアイデアが生成されやすくなります。
例3:文章作成
曖昧な指示:
イベントの告知文を作って。
明確な指示:
以下の情報を基に、社内向けのオンラインセミナーの告知文をメール形式で作成してください。件名は「【参加者募集】生成AI活用セミナー(7/20開催)のお知らせ」としてください。
– イベント名:生成AI活用セミナー
– 日時:7月20日 14:00-15:00
– 形式:Zoomウェビナー
– 対象者:全社員
– 内容:プロンプト作成の基礎と業務効率化事例の紹介
→必要な情報をすべて提供することで、AIはすぐにでも使える完成度の高い文章を作成してくれます。
このように、指示(Instruction)は「何を」「どのように」「どれくらいの量で」といった5W1Hを意識して、できるだけ具体的に記述することがコツです。明確な指示は、AIとのコミュニケーションエラーをなくし、あなたが望む結果へと最短距離で導いてくれる羅針盤の役割を果たします。
2-3. 文脈(Context):背景情報を共有する
「役割(Role)」でAIの立場を決め、「指示(Instruction)」で具体的なタスクを伝えました。しかし、これだけではまだ不十分な場合があります。より人間が意図した通りの、質の高いアウトプットを引き出すための最後の重要な要素が「文脈(Context)」、つまり背景情報の共有です。
プロンプトにおける「文脈」とは、AIにタスクを遂行してもらう上で必要となる前提条件、目的、制約、あるいは関連情報全般を指します。人間同士のコミュニケーションであれば、「言わなくても分かるだろう」と省略してしまうような情報も、AIには丁寧に伝える必要があります。なぜなら、AIはあなたが置かれている状況や、その指示に至った経緯について何も知らないからです。
例えば、友人に「おすすめのレストランを教えて」と頼む時、私たちは無意識に「(今いる場所の近くで、予算はこれくらいで、イタリアンが食べたい気分だという)文脈」を共有したり、相手がそれを汲み取ってくれたりします。AIとの対話でこの「文脈」を省略してしまうと、AIは一般的な情報しか返せず、的外れな回答になってしまうのです。
文脈を共有することは、AIに「思考の地図」を渡すようなものです。現在地と目的地、そしてどのようなルートを期待しているのかを伝えることで、AIは迷うことなく最適な答えを導き出すことができます。
文脈(Context)を共有する具体例
例1:キャッチコピーの提案
文脈なし:
新商品のキャッチコピーを5つ考えて。
文脈あり:
私たちは、環境意識の高い30代の働く女性をターゲットにした、オーガニック認証済みの新しいハンドクリームを開発しました。競合製品よりも保湿力が高い点が強みです。この背景を踏まえて、商品の魅力を伝えるキャッチコピーを5つ提案してください。
→誰に、何を、どのように伝えたいのかという背景を共有することで、単なる言葉の羅列ではなく、ターゲットの心に響く、戦略的なキャッチコピーが期待できます。
例2:メールの文章作成
文脈なし:
取引先へのお詫びメールを作成してください。
文脈あり:
システム障害により、弊社サービスが昨日1時間ほど利用できない状態になりました。原因はサーバの過負荷で、現在は完全に復旧しています。この状況を踏まえ、顧客である株式会社Aの山田様宛に、状況説明と再発防止策を盛り込んだお詫びのメールを、誠実さが伝わるフォーマルなトーンで作成してください。
→何が起こり、どう対応したのかという具体的な経緯を伝えることで、AIは状況に応じた適切な言葉を選び、説得力のある謝罪文を作成することができます。
例3:アイデアの壁打ち
文脈なし:
業務を効率化するアイデアを教えて。
文脈あり:
私のチームは5名で、主に顧客からの問い合わせ対応をメールで行っています。現在、似たような問い合わせに毎回ゼロから文章を作成しており、多くの時間がかかっています。また、対応の品質に個人差があることも課題です。この状況を改善するための具体的な業務効率化のアイデアを3つ提案してください。
→チームの状況や具体的な課題という文脈を提供することで、AIはテンプレートの活用やFAQシステムの導入といった、現実的で実行可能な解決策を提示してくれます。
このように、文脈(Context)を丁寧に提供することは、AIとのコミュニケーションエラーを減らし、アウトプットの精度を劇的に向上させるための鍵となります。AIを単に命令を実行するツールとしてではなく、プロジェクトの背景や目的を理解した「優秀なパートナー」として扱うことで、その能力を最大限に引き出すことができるのです。
2-4. 制約(Constraints):アウトプットの条件を指定する
「役割(Role)」でAIのペルソナを設定し、「指示(Instruction)」でタスクを命じ、「文脈(Context)」で背景情報を与えました。これだけでもAIは優れたアウトプットを生成してくれますが、最後の仕上げとして、よりアウトプットを洗練させ、意図通りにコントロールするための要素が「制約(Constraints)」です。
プロンプトにおける「制約」とは、生成されるアウトプットが満たすべき具体的な条件やルールのことです。例えば、文字数、出力形式、トーン&マナー、含めるべきキーワード、あるいは使用を禁止する言葉などを指定します。AIに「思考の枠組み」や「出力の型」をあらかじめ与えることで、AIが生成する内容の自由度を適切に制限し、より利用しやすく、目的に合致したアウトプットを得ることが可能になります。
制約を設けずに「自由に書いて」と指示すると、AIは時に冗長であったり、求めていない情報を含んでいたり、あるいは後で加工しにくい形式で出力したりすることがあります。制約は、こうした無駄を省き、アウトプットを「すぐに使える」状態にするための、いわばガードレールの役割を果たします。
制約(Constraints)を指定する具体例
例1:文字数やフォーマットの指定
制約なし:
この新商品のプレスリリースの要点をまとめて。
制約あり:
この新商品のプレスリリースの要点を、SNSでの告知に使えるように、箇条書きで3点、全体で150字以内にまとめてください。
→文字数や箇条書きという明確な制約を加えることで、要点が整理され、そのままコピー&ペーストで使える実用的な文章が生成されます。
例2:出力形式の指定
制約なし:
日本の主要なECサイトを教えて。
制約あり:
日本の主要なECサイトを5つ挙げ、それぞれの「サイト名」「主なターゲット層」「特徴」を、以下のマークダウン形式のテーブルで出力してください。
| サイト名 | 主なターゲット層 | 特徴 |
|—|—|—|
→表形式やJSON、CSVといった構造化された形式を指定することで、人間にとって見やすいだけでなく、プログラムで処理したり、スプレッドシートに直接貼り付けたりと、データの二次利用が格段に容易になります。
例3:含めるべき/除外すべき要素の指定
制約なし:
リモートワークのメリットについて説明して。
制約あり:
従業員の視点から見たリモートワークのメリットを説明してください。その際、「ワークライフバランス」と「生産性」というキーワードを必ず含めてください。ただし、企業側のコスト削減といった視点は含めないでください。
→特定のキーワードを盛り込むことで内容の方向性を定め、不要な情報(この場合は企業側の視点)を除外する指示によって、アウトプットの焦点を絞り込み、より意図に沿った回答を引き出すことができます。
このように、「制約」はAIの創造性を縛るためのものではなく、むしろそのパワフルな生成能力を、こちらの望む形へと正確に導くための羅針盤です。これまでに紹介した「役割」「指示」「文脈」にこの「制約」を組み合わせることで、プロンプトはより強力になり、AIはあなたの意図を完璧に理解した、最高のパートナーとなるでしょう。
2-5. 出力形式(Format):望む形で答えを得る
これまでに「役割」「指示」「文脈」「制約」という要素を組み合わせ、AIにこちらの意図を正確に伝える方法を見てきました。最後の仕上げとして、AIからの回答を「受け取った後、すぐに使える」形にするための非常に強力なテクニックが「出力形式(Format)」の指定です。
プロンプトにおける「出力形式」とは、AIが生成する回答の構造やレイアウトを具体的に定義することです。単に文章で回答を得るだけでなく、表、リスト、JSON、CSVといった特定のフォーマットで出力させることで、情報の可読性を高め、データの再利用を格段に容易にします。
人間がレポートを作成する際、まず目次や章立てといった構成を考えるように、AIにもあらかじめ「どのような型に流し込んでほしいか」を伝えることで、後工程の編集や加工作業を大幅に削減できます。出力形式の指定は、AIを単なる文章生成ツールから、あなたの業務に直結するデータやドキュメントを直接生み出す「高機能なアシスタント」へと進化させるための鍵となります。
出力形式(Format)を指定する具体例
例1:テーブル(表)形式での比較
指示:
生成AIチャットサービスの主要な3つ(ChatGPT, Gemini, Claude)について、それぞれの「開発元」「特徴」「強み」を比較して、マークダウン形式のテーブルでまとめてください。
期待される出力:
| サービス名 | 開発元 | 特徴 | 強み |
|------------|----------|------------------------------|----------------------------|
| ChatGPT | OpenAI | 自然で多様な対話能力を持つ | クリエイティブな文章生成 |
| Gemini | Google | マルチモーダル対応とGoogleサービス連携 | 最新情報へのアクセスと正確性 |
| Claude | Anthropic| 安全性と倫理性を重視した設計 | 長文の読解・要約能力 |
→情報を構造化することで、各サービスの違いが一目瞭然になり、比較検討が容易になります。
例2:プログラムで利用しやすいJSON形式
指示:
以下のブログ記事の情報を基に、タイトル(title)、概要(summary)、キーワード(keywords)を抽出し、JSON形式で出力してください。キーワードは3つの文字列からなる配列にしてください。
(ここにブログ記事のテキストを貼り付ける)
期待される出力:
{
"title": "プロンプト作成の基礎知識",
"summary": "本記事では、生成AIから高品質な回答を引き出すためのプロンプト作成の基本的な要素について解説します。",
"keywords": ["生成AI", "プロンプト", "業務効率化"]
}
→ウェブサイトのメタデータ作成や、アプリケーションへのデータ連携など、システムで自動的に情報を処理したい場合に非常に有効です。
例3:スプレッドシートで管理しやすいCSV形式
指示:
日本の都道府県と県庁所在地の一覧を、以下のヘッダーを持つCSV形式で10件分出力してください。
prefecture,capital
期待される出力:
prefecture,capital
北海道,札幌市
青森県,青森市
岩手県,盛岡市
宮城県,仙台市
秋田県,秋田市
山形県,山形市
福島県,福島市
茨城県,水戸市
栃木県,宇都宮市
群馬県,前橋市
→この形式で出力されたデータは、そのままコピーしてExcelやGoogleスプレッドシートに貼り付けるだけで、自動的にセルに分割され、簡単にリストを作成できます。
このように、出力形式を指定することは、AIとのコミュニケーションにおける最後の、そして決定的な一手です。これまで学んできた「役割」「指示」「文脈」「制約」と組み合わせることで、あなたはAIの能力を最大限に引き出し、思考や作業の真のパートナーとして活用することができるようになるでしょう。
3. 【目的別】すぐに使えるプロンプト例文集
日常生活やビジネスシーンで役立つ、具体的なプロンプトのテンプレートを目的別に紹介します。
3-1. 文章を作成する(メール、ブログ記事)
生成AIは、人間のような自然な文章を作成することを得意としています。この能力を活用することで、ビジネスメールの作成やブログ記事の執筆など、日常的・業務的に発生する様々なライティング作業を効率化できます。ここでは、具体的なプロンプトの例を交えながら、その活用方法を見ていきましょう。
ビジネスメールの作成
丁寧な言葉遣いや適切な構成が求められるビジネスメールは、プロンプトの良い活用シーンです。例えば、取引先への打ち合わせ日程の調整を依頼するメールを作成してみましょう。
プロンプトのポイント
- 役割: 誰が(自分の立場)誰に(相手)送るメールなのかを明確にする
- 目的: メールの目的(何をしてほしいのか)を伝える
- 情報: メールに含めてほしい具体的な情報(議題、候補日時など)を箇条書きで示す
- トーン: 文面のトーン(丁寧、簡潔、フォーマルなど)を指定する
プロンプト例:
あなたは、株式会社△△の営業担当です。
株式会社〇〇の山田様宛に、来週の打ち合わせの日程調整をお願いするメールを作成してください。# メールの目的
新サービス「AIアシスト」に関するご提案の打ち合わせ# 必ず含める情報
* 打ち合わせの所要時間は1時間程度を想定
* こちらの希望日時を3つ提示
* 6月17日(月) 13:00-15:00
* 6月18日(火) 終日
* 6月20日(木) 10:00-12:00
* 山田様のご都合が悪い場合は、別途候補日をいくつか提示いただきたい旨を伝える# トーン
丁寧かつ簡潔なビジネスメール
このように、必要な情報を整理してプロンプトとして入力することで、生成AIは瞬時にフォーマルなビジネスメールの草案を作成してくれます。あとは内容を確認し、微調整するだけで、メール作成の時間を大幅に短縮できます。
ブログ記事の執筆
ブログ記事のように、ある程度の分量が必要な文章作成においても、生成AIは強力なアシスタントになります。アイデア出しから構成案の作成、本文の執筆まで、幅広い工程をサポートします。
プロンプトのポイント
- テーマ: 何についての記事なのかを明確にする
- ターゲット読者: 誰に読んでほしいのか(例:初心者、専門家)を指定する
- キーワード: 記事に含めたい重要なキーワードをリストアップする
- 構成: どのような構成(見出し)で書いてほしいかを指示する
- 文体: 「ですます調」「である調」「親しみやすい口調」などを指定する
プロンプト例:
「家庭菜園 初心者向けガイド」というテーマでブログ記事の構成案を作成してください。# ターゲット読者
* これから家庭菜園を始めたいと考えている20代〜30代の男女# 含めてほしいキーワード
* 家庭菜園, 初心者, プランター, おすすめ野菜, 始め方, 道具# 記事の構成
1. 導入:家庭菜園の魅力と、初心者でも気軽に始められることを伝える
2. 始め方:必要な道具や準備について解説
3. 初心者におすすめの野菜:育てやすい野菜を3つ紹介
4. 注意点:初心者が陥りがちな失敗と対策
5. まとめ:家庭菜園を始めることの楽しさを改めて伝える# 文体
初心者に語りかけるような、親しみやすい「ですます調」
このプロンプトを使えば、まず記事全体の骨子となる構成案を作成できます。さらに、作成された構成案の各見出しについて、「この見出しの内容を500字程度で執筆してください」と追加で指示することで、本文の執筆も効率的に進めることが可能です。
文章作成において生成AIを使いこなすコツは、一度で完璧なものを求めず、「優秀なアシスタントに下書きを依頼する」という感覚で利用することです。生成された文章をたたき台として、最終的な仕上げは自分で行うことで、品質と効率を両立させることができます。
3-2. アイデアを出す(ブレインストーミング)
生成AIの活用は、決まった答えのある文章作成だけにとどまりません。むしろ、まだ形になっていない新しいアイデアを生み出す「ブレインストーミング」の領域でこそ、その真価を発揮します。自分一人では思いつかないような多様な視点や斬新な切り口のアイデアを短時間で大量に得られるため、企画立案や問題解決の強力なパートナーとなります。
新しい企画のアイデア出し
新商品やサービスの企画、イベントの立案など、ゼロからアイデアを考える場面で生成AIは非常に役立ちます。AIに対して、思考の壁打ち相手になってもらうのです。
プロンプトのポイント
- 目的と背景: 何のためのアイデア出しなのか、その背景を明確に伝えます。
- ターゲット: 誰に向けた企画なのかを具体的に設定します。
- コンセプトやキーワード: アイデアに含めてほしい重要な要素や世界観を提示します。
- 制約条件: 予算、期間、場所などの制約をあえて加えることで、より現実的なアイデアを引き出せます。
- 視点の指定: 「顧客の視点で」「競合他社の視点で」「全く新しい視点で」のように、考える立場を指定すると、アイデアの幅が広がります。
プロンプト例:
あなたは、大手飲料メーカーの企画担当者です。
若者世代(10代〜20代)をターゲットにした、新しいエナジードリンクのコンセプトアイデアを10個、ブレインストーミングしてください。# 目的
既存のエナジードリンク市場にない、新しい価値を提供する商品の企画# ターゲット
* 健康や美容にも関心が高い10代〜20代の男女# 含めてほしいキーワード
* リフレッシュ
* 自然由来成分
* 集中力
* サステナブル# 出力形式
* コンセプト名
* 簡単な説明(2〜3行)# トーン
斬新でクリエイティブなアイデアを歓迎
このように、具体的なお題と条件を与えることで、生成AIは「『飲む森林浴』- 天然ハーブと炭酸水で作る、集中力とリラックスを両立させるドリンク」や「『クリエイターズ・フューエル』- eスポーツ選手と共同開発した、持続可能なエネルギー源をテーマにしたドリンク」といった、具体的なコンセプト案をリストアップしてくれます。
これらのアイデアは、あくまでたたき台です。生成されたリストの中から気になるものを選び出し、「そのアイデアの具体的なプロモーション方法を考えて」「ネーミング案を5つ出して」と対話形式で深掘りしていくことで、企画をより具体的に磨き上げていくことができます。一人で考えが煮詰まってしまった時、あるいはチームでの議論を活性化させたい時に、生成AIは思考の起爆剤として機能してくれるでしょう。
3-3. 情報を要約・分析する
日々、膨大な量の情報に触れる現代において、会議の議事録や長いレポート、最新のニュース記事などを短時間で効率的に理解する能力は非常に重要です。生成AIは、長文の要点を的確に捉えて要約したり、データの中から特定の傾向を分析・抽出したりすることを得意としています。これにより、情報収集やリサーチにかかる時間を大幅に削減し、より迅速な意思決定をサポートします。
長文ドキュメントの要約
研究論文や市場調査レポート、オンライン記事などの内容を素早く把握したいとき、生成AIは非常に役立ちます。全文を読む時間がない場合でも、要点をまとめたサマリーを瞬時に作成させることができます。
プロンプトのポイント
- 対象: 要約したい文章や記事の全文を貼り付けるか、参照可能なURLを提示します。
- 出力形式: 「300字以内で」「箇条書きで3点にまとめて」など、希望する要約の長さや形式を具体的に指定します。
- 目的・視点: 誰が何のために読む要約なのか(例:「忙しい経営者向けに、結論を先に示す形で」)を伝えることで、より目的に合った要約が得られます。
プロンプト例:
以下の会議議事録を、決定事項と今後のタスク(ToDo)が明確にわかるように、箇条書きで要約してください。# 対象の議事録
[ここに議事録のテキストを貼り付ける]# 要約のポイント
* 決定事項
* 担当者別のタスクリスト
* 次回の会議日程
このプロンプトを使えば、長々とした議事録の中から重要なアクションアイテムだけを抜き出し、関係者への共有をスムーズに行うことができます。
データからのインサイト抽出
要約だけでなく、一歩踏み込んだ情報の分析も可能です。例えば、大量の顧客レビューやアンケートの自由回答といったテキストデータから、ポジティブな意見とネガティブな意見を分類したり、共通して言及されているキーワードを抽出したりすることができます。
プロンプトのポイント
- 分析対象データ: 分析したいテキストデータ(レビュー、アンケート回答など)を提示します。
- 分析の軸: どのような観点で分析してほしいか(例:「良い点と悪い点」「改善要望」)を明確に指示します。
- 出力形式: 結果をどのように整理してほしいか(例:表形式、カテゴリごとのリスト)を指定すると、後の活用がしやすくなります。
プロンプト例:
あなたは、新商品の企画担当者です。
以下のユーザーアンケートの自由回答を分析し、製品に対する「ポジティブな意見」と「改善要望」に分類してください。
さらに、改善要望の中から特に多く言及されているものを3つ、優先度が高い順にリストアップしてください。# ユーザーアンケート自由回答
* 回答1: 「デザインは最高ですが、少し重いのが気になります。もう少し軽ければ完璧。」
* 回答2: 「バッテリーの持ちが想像以上で、一日中使っても安心です。ただ、充電時間が長いのがネック。」
* 回答3: 「アプリとの連携がスムーズで良い。でも、カラーバリエーションがもっと欲しい。」
(以下、回答が続く)
このプロンプトを実行することで、AIが大量の定性的なデータの中から、製品改善に繋がる貴重なインサイト(洞察)を自動的に整理・抽出してくれます。これにより、人間はデータの読み込み作業から解放され、抽出されたインサイトを基にした戦略立案など、より創造的な業務に集中できるようになります。
4. プロンプト作成の質を高めるコツと注意点
プロンプトをさらに使いこなすための応用テクニックと、避けるべきポイントを解説します。
4-1. コツ1:具体的・シンプルに書く
生成AIから期待通りの回答を得るための最も基本的で、そして最も重要なコツは、指示(プロンプト)を「具体的」かつ「シンプル」に書くことです。
AIは人間のように言葉の裏にある意図や文脈を汲み取ることができません。そのため、「いい感じに」「よしなに」といった曖昧な表現では、AIが指示を誤って解釈し、見当違いの回答が返ってくる可能性が高くなります。
具体的に指示を出すには、「5W1H」(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識すると効果的です。また、一つのプロンプトに多くの要求を詰め込みすぎると、AIが混乱し、どの指示を優先すべきか判断できなくなってしまいます。伝えたい核心部分を、できるだけ簡潔な言葉で記述しましょう。
悪い例と良い例
【文章生成の例】
悪い例:
ビジネスメールを書いて。
→ 誰に、どんな内容のメールを書けばいいか分からず、汎用的な文章しか生成できません。
良い例:
取引先の佐藤様へ、先日依頼した見積もりの提出期限を今週末から来週末へ延長してほしいとお願いするビジネスメールを、丁寧な表現で作成してください。
→ 目的、相手、内容が明確なため、AIは意図に沿ったメールを作成できます。
【画像生成の例】
悪い例:
おしゃれな猫のイラスト。
→ 「おしゃれ」の定義が曖昧なため、制作者の意図しないテイストのイラストが生成される可能性があります。
良い例:
日当たりの良い窓辺で丸くなって眠っている茶トラの子猫を、柔らかいタッチの水彩画風に描いて。
→ 猫の種類、状況、画風(タッチ)まで具体的に指定することで、イメージに近いイラストが出力されやすくなります。
まずは、AIが迷わないように、明確で分かりやすい指示を出すことを心がけましょう。これだけでも、出力の精度は格段に向上します。
4-2. コツ2:一度で完璧を求めない(対話と改善)
生成AIを使いこなすための2つ目のコツは、「一度の指示で完璧な答えを得ようとしない」ことです。むしろ、AIとの「対話」を楽しみながら、少しずつ理想の答えに近づけていくという意識が重要です。
多くの生成AIはチャット形式、つまり対話形式で設計されています。これは、最初の出力が完璧でなくても、その後のやり取りを通じて修正・改善できるのが大きな強みだからです。最初のプロンプトで得られた回答は、あくまで「たたき台」や「下書き」と捉えましょう。
そのたたき台を基に、以下のような追加の指示を出していくことで、出力の質を飛躍的に高めることができます。
- 修正を依頼する: 「この部分の表現を、もっと専門的にしてください」
- 情報を追加する: 「先ほどの回答に、具体的な数値を加えてください」
- 視点を変える: 「上記の文章を、初心者の視点から見て分かりやすいように書き直してください」
- 要約・拡張する: 「全体を3行で要約して」「この項目について、さらに詳しく説明して」
具体的な対話の例(企画書のたたき台作成)
最初の指示:
`若者向けの新しいSNSアプリの企画書を作成してください。`
→ AIが一般的な機能(写真投稿、メッセージ機能など)を盛り込んだ企画書の骨子を作成します。
追加の指示(コンセプトの深掘り):
ありがとうございます。では、コンセプトを「趣味で繋がる」という点に絞り込み、匿名で安心して交流できる機能を強調して書き直してください。
→ コンセプトが明確になり、匿名性やコミュニティ機能に焦点を当てた内容に修正されます。
追加の指示(ターゲットの明確化):
素晴らしいです。次に、ターゲットユーザーを「10代後半~20代前半の大学生」に設定し、彼らが興味を持つような収益モデルのアイデアを3つ追加してください。
→ ターゲットに合わせた機能やマネタイズ方法が具体化され、企画書全体の解像度が上がります。
このように、いきなり100点満点のプロンプトを目指すのではなく、AIとキャッチボールを繰り返すことで、思考を整理しながら、より質の高い、そして自分自身も想像していなかったようなアイデアにたどり着くことができるのです。
4-3. 注意点:誤情報や偏見のリスク
ここまでは、生成AIからより良い回答を引き出すためのテクニックを紹介してきました。しかし、どんなにプロンプトを工夫しても、生成AIの性質上、避けて通れないリスクが存在します。それは「誤情報(ハルシネーション)」と「偏見(バイアス)」のリスクです。
生成AIは、インターネット上の膨大なデータを学習して、統計的に「最もそれらしい」回答を生成する仕組みです。AIは人間のように情報の真偽を判断したり、倫理的な価値観を持っていたりするわけではありません。そのため、以下のような問題が発生する可能性があります。
1. 誤情報(ハルシネーション)
AIが、学習データに存在しない情報や事実と異なる情報を、あたかも真実であるかのように、もっともらしく生成してしまう現象です。
具体例:
- 存在しない研究論文や判例を引用する
- 歴史上の出来事の日付や人物名を間違える
- 特定の製品について、事実ではない機能や性能を説明する
2. 偏見(バイアス)
学習データとなったインターネット上の情報には、社会に存在する様々な偏見やステレオタイプが含まれています。AIはそれらを無批判に学習してしまうため、出力に偏りが生じることがあります。
具体例:
- 特定の職業(例:「看護師」「社長」)のイラストを生成させると、特定の性別に偏る
- 特定の国や文化に対して、ステレオタイプなイメージに基づいた文章を生成する
利用者としての心構え
これらのリスクを理解した上で、生成AIを安全かつ効果的に活用するためには、以下の心構えが非常に重要です。
生成された情報を鵜呑みにしない: AIの回答はあくまで「下書き」や「参考意見」と捉え、特に正確性が求められる情報(数値、固有名詞、専門知識など)は、必ず信頼できる情報源でファクトチェック(事実確認)を行いましょう。
最終的な責任は利用者が負う: AIは便利なツールですが、その出力内容を最終的に判断し、利用する責任は人間にあります。レポートや業務で利用する際は、内容を十分に吟味・修正する必要があります。
生成AIは、私たちの創造性や生産性を飛躍的に高めてくれる強力なパートナーです。その限界とリスクを正しく理解し、「賢く疑う」姿勢を持つことで、その恩恵を最大限に引き出すことができるでしょう。


